福岡県と熊本県の県境にある『万田坑』は 三池炭鉱の
主力坑のひとつとして明治30年代に開かれました。
そして、三井の総力を挙げて整備され、我国最大規模の竪坑になりました。
昭和26年に採炭は終えましたが、揚水や坑内管理のため、
平成9年まで施設が維持されていたようです。
これだけまとまった形で炭鉱施設が残っているところは貴重で、
また日本の近代化に果たした役割も評価され、
平成10年に国の重要文化財、平成12年には国の史跡に
指定されました。
しかし、現況は閉山時から満足に保存・修復は
行われておらず、一部では施設の崩壊も進んでいます。
100年わたり日本の近代化につくし、戦後の復興をも
支えた万田坑。そこには人々の喜びや悲しみ、
希望や絶望も熾火のように残っているに違いありません。
今は静かにその姿を横たえる万田坑。そこに残る時間の
痕跡、そして人々の記憶の残照を写しとりたかったのです。
2003年8月6日〜8月12日
銀座コダックフォトサロンにて写真展